サウナの健康効果 エビデンス集【医学研究まとめ】
「サウナは身体にいい」とよく言われますが、具体的にどのような健康効果があり、それはどの程度の科学的根拠に支えられているのでしょうか。
本記事では、SAUNA TRIBE編集部が世界中の医学研究論文を精査し、サウナの健康効果をエビデンスレベルの高い順にまとめました。フィンランドで行われた大規模コホート研究をはじめ、心臓血管系、免疫機能、メンタルヘルス、睡眠、美肌など、多岐にわたる効果を科学的根拠とともに解説します。
この記事でわかること
- サウナの健康効果に関する最新の医学研究
- 心臓血管系・免疫・メンタルヘルスなど7つの効果のエビデンス
- 効果を最大化するための入り方と頻度
- サウナのリスクと注意すべき点
- よくある疑問への科学的な回答
医学的な注意事項
本記事は医学研究を紹介するものであり、医療行為の代替を意図するものではありません。持病のある方やお身体に不安のある方は、サウナ利用前に必ず担当医にご相談ください。
1. 心臓血管系への効果【エビデンスレベル:非常に高い】
サウナの健康効果の中で最も強固な科学的エビデンスがあるのが、心臓血管系への好影響です。
Kuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Study(KIHD研究)
フィンランド・クオピオ大学のLaukkanenらが2,315名のフィンランド人男性を対象に平均20.7年間追跡した大規模コホート研究。JAMA Internal Medicine誌に発表されたこの画期的な研究は、サウナの心血管保護効果を世界に示しました。
主な結果:
- 週4〜7回サウナに入る人は、週1回の人に比べて心臓突然死リスクが63%低い
- 同じく冠動脈疾患による死亡リスクが48%低い
- 同じく全死因死亡リスクが40%低い
出典: Laukkanen T, Khan H, Zaccardi F, Laukkanen JA. “Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events.” JAMA Internal Medicine. 2015;175(4):542-548.
なぜサウナが心臓に良いのか
サウナの温熱負荷は、軽度〜中等度の有酸素運動と類似した心血管系への刺激を与えます。
- 血管拡張: サウナの熱により末梢血管が拡張し、血流が増加。血管の柔軟性が向上
- 血圧低下: 定期的なサウナ利用者は、非利用者に比べて収縮期・拡張期血圧が有意に低い
- 心拍出量の増加: サウナ中の心拍数は100〜150拍/分まで上昇し、心臓のポンプ機能が鍛えられる
- 動脈硬化の抑制: 血管内皮機能の改善を通じて、動脈硬化の進行を抑制する可能性
血圧への効果: 2017年のAmerican Journal of Hypertension誌に発表された研究では、週4〜7回サウナを利用する男性は、週1回の男性に比べて高血圧の発症リスクが47%低いことが報告されています。
出典: Zaccardi F, et al. “Sauna Bathing and Incident Hypertension: A Prospective Cohort Study.” American Journal of Hypertension. 2017;30(11):1120-1125.
2. 免疫機能の強化【エビデンスレベル:中程度〜高い】
定期的なサウナ利用が免疫機能を強化するというエビデンスが蓄積されています。
サウナと風邪予防: オーストリアのウィーン大学の研究では、6ヶ月間にわたり週2回以上サウナを利用したグループは、サウナを利用しないグループに比べて風邪の罹患率が約50%低いことが報告されました。
出典: Ernst E, Pecho E, Wirz P, Saradeth T. “Regular sauna bathing and the incidence of common colds.” Annals of Medicine. 1990;22(4):225-227.
免疫強化のメカニズム
- ヒートショックプロテイン(HSP)の産生: サウナの熱ストレスにより、細胞保護タンパク質であるHSPの産生が増加。HSPは細胞の修復やタンパク質の正常な折りたたみを助け、免疫細胞の機能を支援します
- 白血球数の増加: サウナ入浴後に白血球(好中球・リンパ球・単球)の一過性の増加が確認されています
- 炎症マーカーの低下: 定期的なサウナ利用者はCRP(C反応性タンパク質)などの炎症マーカーが低い傾向があります
3. メンタルヘルスへの効果【エビデンスレベル:中程度〜高い】
サウナはメンタルヘルスにも多面的な好影響を与えることが示されています。「ととのうとは何か」で解説している主観的な幸福感にも、科学的な裏付けがあります。
うつ病リスクとサウナ: KIHD研究の追加解析(2018年)では、週4〜7回サウナを利用する男性は、週1回の男性に比べて精神病性障害のリスクが78%低いことが報告されています。
出典: Laukkanen T, et al. “Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease in middle-aged Finnish men.” Age and Ageing. 2017;46(2):245-249.
メンタルヘルスへの作用
- β-エンドルフィンの分泌: サウナの温熱ストレスにより、「幸福ホルモン」とも呼ばれるβ-エンドルフィンの分泌が促進される。これが「ととのい」の多幸感の主要因と考えられている
- コルチゾール(ストレスホルモン)の調整: 急性的にはコルチゾールが上昇するが、定期的なサウナ利用者では基礎コルチゾール値が低い傾向がある
- セロトニン系の活性化: 温熱刺激がセロトニンの産生を促進し、気分の安定に寄与
- BDNF(脳由来神経栄養因子)の増加: 温熱ストレスによりBDNFの発現が増加し、脳の神経可塑性が向上する可能性
全身温熱療法とうつ病: JAMA Psychiatry誌(2016年)に発表された無作為化比較試験では、全身温熱療法(赤外線で深部体温を38.5℃まで上昇させる処置)を1回受けたうつ病患者は、偽治療群に比べて6週間後のうつ症状が有意に改善したことが示されました。
出典: Janssen CW, et al. “Whole-Body Hyperthermia for the Treatment of Major Depressive Disorder: A Randomized Clinical Trial.” JAMA Psychiatry. 2016;73(8):789-795.
4. 睡眠の質の改善【エビデンスレベル:中程度】
多くのサウナ愛好者が実感している「サウナ後によく眠れる」という効果にも、科学的な根拠があります。
睡眠改善のメカニズム
- 深部体温の低下: サウナで一時的に上昇した深部体温がその後低下するプロセスが、自然な眠気を促進します。入眠時の深部体温低下が大きいほど、深い睡眠(徐波睡眠)が得られやすいことがわかっています
- 副交感神経の活性化: サウナ後の休憩で副交感神経が優位になることで、リラクゼーション状態が持続し、スムーズな入眠につながります
- 筋緊張の緩和: サウナの温熱効果により筋肉の緊張がほぐれ、身体的なリラクゼーションが促進されます
睡眠の質を高めるサウナの入り方
- 就寝の1.5〜2時間前にサウナに入ると、深部体温の低下タイミングと就寝時間が一致しやすい
- 夜のサウナは温度をやや低めに、セット数も2セット程度にとどめる
- 最後のセットでは水風呂を省略し、ぬるめのシャワーで終えると、リラクゼーション効果が持続しやすい
5. 美肌・アンチエイジング効果【エビデンスレベル:中程度】
サウナは皮膚の健康にも好影響を与える可能性が示されています。
美肌への作用
- 血流増加による栄養供給: サウナ中の血流増加により、皮膚への酸素と栄養素の供給が促進される
- 発汗による毛穴洗浄: 大量の発汗が毛穴の老廃物を押し出し、肌のクレンジング効果をもたらす
- コラーゲン産生の促進: ヒートショックプロテインの産生が、コラーゲンの維持・産生を支援する可能性
- 皮膚バリア機能の強化: 定期的なサウナ利用者は、皮膚のpHバランスが安定し、バリア機能が向上するという報告がある
肌への注意点
- サウナ後は肌が乾燥しやすいため、保湿ケアを忘れずに
- アトピー性皮膚炎や敏感肌の方は、低温・高湿度のスチームサウナの方が肌に優しい
- サウナ直後の強い紫外線は避ける(血管拡張状態で紫外線を浴びるとシミの原因に)
6. 代謝・ダイエットへの効果【エビデンスレベル:低〜中程度】
サウナのダイエット効果については、誤解も多い分野です。科学的事実に基づいて正確に整理します。詳細は「サウナのカロリー消費とダイエット効果」の記事もご参照ください。
科学的事実
- 直接的なカロリー消費は限定的: サウナ1セット(10分)あたりのカロリー消費は約20〜40kcal程度。「サウナで大量にカロリーを燃焼する」というのは過大な期待です
- 体重減少は一時的: サウナ直後の体重減少は発汗による水分喪失であり、水分補給で元に戻ります
- 間接的な代謝促進効果: 成長ホルモン(GH)の分泌促進、インスリン感受性の改善、慢性炎症の抑制などを通じて、長期的な代謝改善に寄与する可能性がある
成長ホルモンとサウナ: サウナ入浴中の成長ホルモン分泌は、安静時の2〜5倍に増加することが複数の研究で報告されています。成長ホルモンは脂肪分解を促進し、筋肉の維持・合成をサポートします。
出典: Leppäluoto J, et al. “Endocrine effects of repeated sauna bathing.” Acta Physiologica Scandinavica. 1986;128(3):467-470.
7. 認知症・脳機能への効果【エビデンスレベル:中程度】
フィンランドの長期研究から、サウナと認知機能の関連を示す興味深いデータが報告されています。
サウナと認知症リスク: KIHD研究の追加解析(2017年)では、週4〜7回サウナを利用する中年男性は、週1回の男性に比べて認知症リスクが66%低く、アルツハイマー病リスクが65%低いことが示されました。
出典: Laukkanen T, et al. “Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease in middle-aged Finnish men.” Age and Ageing. 2017;46(2):245-249.
脳機能保護のメカニズム(仮説)
- 脳血流の増加: サウナ中の全身血流増加が脳への血液供給を改善
- BDNFの増加: 温熱ストレスが脳由来神経栄養因子の発現を促進し、神経細胞の保護・成長を支援
- 炎症の抑制: 慢性炎症は認知症の危険因子であり、サウナの抗炎症作用が保護的に働く可能性
- 心血管リスクの低減: 心血管疾患は認知症のリスク因子でもあるため、サウナの心血管保護効果が間接的に認知症リスクを低下させている可能性
8. 効果のまとめ一覧表
| 健康効果 | エビデンスレベル | 主要な研究 | 推奨頻度 |
|———|————–|———-|———|
| 心臓血管系の保護 | 非常に高い | KIHD研究(JAMA 2015) | 週4〜7回 |
| 血圧低下 | 高い | Am J Hypertension 2017 | 週4回以上 |
| 免疫機能の強化 | 中程度〜高い | Ernst et al. 1990 | 週2回以上 |
| うつ・メンタルヘルス改善 | 中程度〜高い | JAMA Psychiatry 2016 | 週2回以上 |
| 認知症リスク低下 | 中程度 | Age and Ageing 2017 | 週4回以上 |
| 睡眠の質改善 | 中程度 | 複数の研究 | 就寝1.5〜2h前 |
| 美肌・アンチエイジング | 中程度 | 複数の研究 | 週2〜3回 |
| 代謝・ダイエット補助 | 低〜中程度 | Leppäluoto et al. 1986 | 週3回以上 |
効果を最大化するポイント
- 頻度: 週2回以上の定期的な利用が推奨される。研究では週4〜7回で最も大きな効果
- 1セットの時間: 8〜15分が標準。長すぎるのは逆効果
- セット数: 2〜4セットが理想。「セット数の解説記事」も参照
- 温度: 80〜100℃のフィンランド式サウナで研究が行われている
- 水分補給: 脱水は効果を減じるため、十分な水分摂取を忘れずに
9. サウナのリスクと注意事項
サウナには多くの健康効果がある一方で、リスクや注意すべき点も存在します。安全にサウナを楽しむためにしっかり理解しておきましょう。「サウナと健康の詳細記事」もあわせてお読みください。
サウナの主なリスク
- 脱水症状: 大量の発汗により脱水を起こす可能性。入浴前後の水分補給が必須
- 血圧の急激な変動: サウナ→水風呂の温度差で血圧が急変動。高血圧・低血圧の方は注意
- 不整脈の誘発: 心臓疾患のある方は、温熱負荷が不整脈を誘発するリスク
- 熱中症: 長時間の入浴や高温でのめまい・意識障害のリスク
- アルコールとの併用: 飲酒後のサウナは脱水と血圧変動のリスクが飛躍的に高まる。絶対に避けること
- 男性の生殖機能への一時的影響: 高温が精子の産生を一時的に抑制する可能性がある(可逆的)
サウナを避けるべき場合
- 急性心筋梗塞の直後
- 不安定狭心症
- 重度の大動脈弁狭窄症
- 急性感染症・発熱時
- 飲酒後
- 妊娠中(主治医に相談)
- 重度の皮膚疾患の急性期
10. よくある質問(FAQ)
Q1. サウナの効果が出るまでどれくらいかかりますか?
A. 急性効果(リラクゼーション、睡眠改善など)は1回の入浴後から実感できます。慢性的な効果(血圧低下、免疫強化など)は、週2回以上を4〜8週間継続することで徐々に現れると考えられています。KIHD研究の心血管保護効果は長期(数年〜十数年)の継続利用者を対象としたものです。
Q2. サウナと運動、どちらが健康に良いですか?
A. 両者は競合するものではなく、補完的な関係にあります。サウナは「受動的な心血管トレーニング」とも呼ばれますが、運動の代替にはなりません。理想的なのは定期的な運動とサウナ利用を組み合わせることです。実際にKIHD研究では、運動頻度とサウナ頻度の両方が高い群で最も良好な健康アウトカムが報告されています。
Q3. フィンランド式サウナと赤外線サウナ、健康効果に違いはありますか?
A. 主要な大規模研究のほとんどはフィンランド式の高温サウナ(80〜100℃)を対象としています。赤外線サウナ(50〜65℃)についても一部の研究で心血管系への好影響が報告されていますが、エビデンスの量と質はフィンランド式に比べると限られています。ただし、赤外線サウナは低温で身体への負荷が少ないため、高齢者や心疾患の既往がある方には適している可能性があります。
Q4. サウナは何歳から利用できますか?子供も大丈夫?
A. フィンランドでは子供(5歳頃〜)も家族と一緒にサウナに入る文化がありますが、日本の多くの施設では小学生以上を推奨しています。子供は体温調節機能が未発達なため、低温(60〜70℃)・短時間(3〜5分)にとどめ、必ず保護者が同伴してください。
Q5. サウナの効果は科学的に証明されているのですか?
A. はい、特に心臓血管系への効果については、2,000名以上を20年以上追跡したKIHD研究(JAMA 2015)という高品質のコホート研究が存在し、科学的信頼性は高いと言えます。ただし、これらは観察研究であり「サウナが原因で健康になった」という因果関係を完全に証明するものではなく、「サウナを頻繁に利用する人は健康な傾向がある」という相関関係を示しています。今後のランダム化比較試験(RCT)による更なるエビデンスの蓄積が期待されます。
Q6. サウナに入ると「6つの効果」があると聞きましたが本当ですか?
A. サウナには複数の健康効果が報告されています。本記事で紹介した通り、心臓血管系の保護、免疫強化、メンタルヘルスの改善、睡眠の質向上、美肌効果、代謝促進、認知機能の保護など、多岐にわたる効果がエビデンスとともに報告されています。ただし効果の大きさやエビデンスレベルは項目によって異なりますので、詳しくは本記事の各セクションをご確認ください。
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1. Laukkanen T, Khan H, Zaccardi F, Laukkanen JA. “Association Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events.” JAMA Internal Medicine. 2015;175(4):542-548.
2. Zaccardi F, et al. “Sauna Bathing and Incident Hypertension: A Prospective Cohort Study.” American Journal of Hypertension. 2017;30(11):1120-1125.
3. Laukkanen T, et al. “Sauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease in middle-aged Finnish men.” Age and Ageing. 2017;46(2):245-249.
4. Janssen CW, et al. “Whole-Body Hyperthermia for the Treatment of Major Depressive Disorder: A Randomized Clinical Trial.” JAMA Psychiatry. 2016;73(8):789-795.
5. Ernst E, Pecho E, Wirz P, Saradeth T. “Regular sauna bathing and the incidence of common colds.” Annals of Medicine. 1990;22(4):225-227.
6. Hussain J, Cohen M. “Clinical Effects of Regular Dry Sauna Bathing: A Systematic Review.” Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2018.
7. Leppäluoto J, et al. “Endocrine effects of repeated sauna bathing.” Acta Physiologica Scandinavica. 1986;128(3):467-470.
8. 加藤容崇 著『医者が教えるサウナの教科書』ダイヤモンド社, 2020年.
*SAUNA TRIBE編集部作成 | 2026年2月23日*